2012年度センター試験現代文第2問「たま虫を見る」の解説をしまーす。

第2問。井伏鱒二「たま虫を見る」からの出題。 全体概観 全体としてみると、やはり明示的な形で本文に書かれているかどうか微妙な部分もあり、問2、問3、問6の2つめの正答などが少し選びにくい印象もあるために、少し迷う出題になっているように思いました。…

2012年度センター試験現代文第1問「境界としての自己」(木村敏)を解説します。

第1問:木村敏「境界としての自己」からの出題。 全体概観 個体の生存欲求と集団の存続という統一的行動との比較を試みる前半の議論は比較的分かりやすい反面、境界という概念を導入して自己を捉える後半の議論は、内容的な点をきりきり詰めようとするとかな…

数学は美しいか?

ニコニコ動画に、『田原総一朗×原口一博 公開討論会〜日本の教育を考える』という動画がある。去年の12月に行われた対談である。 そのなかで次のようなやりとりがある。 原口:例えばシンガポールですね。この間リー・クアンユー上級相とお話をして、あの方…

京大入試問題流出事件の酷い反応を考える。

京大入試問題流出事件は、19歳の浪人生が逮捕されるという結末を迎えた。 この結末それ自体は、いくつかの予想されたシナリオの中でもかなり悲劇的とさえ言えるものだったが、 そのことに直接言及することは避けたい。 ここで考えてみたいのは、今回の流出事…

京大入試問題流出の件─3/1付の読売記事が酷い。

今日、3月1日付の読売新聞が、京大入試問題流出の件について記事にしている。 社会面に載せられた記事の題名は、 「正解と誤り混在」 「全問「ベストアンサー」なら──京大、合格圏内も」 だった。 文系数学について、 京大の文系数学は、5問題で小問を含めて…

四角いアタマは丸くなるか? (その1)─ベルグマンの法則&アレンの法則─

東京に出張したとき、日能研の名物広告「シカクいアタマをマルくする」で次のようなものを見た。正式な画像はこちら。 問1.1辺が1の立方体の体積は1。表面積は6だから体積の6倍。1辺の長さを2倍にすると、体積は8倍で8。表面積は4倍で24だから体積の3倍。さ…

実際の入試問題を使ったはいいが・・・

10分以内の解けなければ・・・ 「探偵学園Q」第4話で次のようなシーンが登場する。 全寮制の学校の特進クラスという感じのネタのつもりなのだろうが、数学担当の女教師が次のように宣言する。 「これは東大の入試問題よ。10分以内にこれが解けなければ、この…

 いまさら鳩山論文について

鳩山由紀夫首相がVoice誌に寄稿した「私の政治哲学」と題する論文が、ニュヨークタイムス紙に転載され多くの反響を生んだ。 私はこの件に関して、どのような経緯で掲載が決まったかとか、誰が英訳を作成したか、といったことについては何も関知していない。 …

1+1は2じゃないの?

「エジソンの母」に出てくる小憎たらしい小学生 以前に放映していたドラマに「エジソンの母」という作品がある。 私は第1話しか見ていないけれど、その中に1+1=2という足し算について「どうして?どうして?」とたずねる少年の話が登場する。「どうして1+1…

小学校の掛け算の授業では、順序に意味があるらしい。

「1皿に3個のケーキがある。5皿で全部でケーキは何個か?」 という問題に対して、1皿あたりの量が3個で5皿分と考えれば、3×5=15個が正解で、5×3=15はだめだというのである。その理由を解説しているページとして、例えば次のようなものが挙げられる。 …